What's Kamuy‐Wakka カムイ・ワッカとは

知床硫黄山の山麓、カムイワッカ川から硫黄川で囲まれたエリアを「カムイワッカ」と呼んでいます。

このエリアの代表は、何といっても温泉が流れるカムイワッカ川(湯の滝)です。川を登るにつれ温度が上がっていき、最終目的地の「4の滝」では約35~38℃という絶妙に気持ちの良い温度になる不思議な川です。

水しぶきを身体に浴びながら、いくつもの小さな滝を乗り越え、上流をめざす。原生林に囲まれた川をジャブジャブと歩いていく爽快さ。湧き出る温泉を眺める驚き。大小さまざまな滝を登っていく達成感。地球のチカラを体感できる貴重なアドベンチャーアクティビティの舞台が、このカムイワッカなのです。

さらに、ここカムイワッカは、知床硫黄山の登山口でもあり、知床連山縦走のゴールでもあります。登山や沢登りのフィールドであるカムイワッカで、一生忘れない特別な体験をしてみましょう。

アイヌの人から神の水と呼ばれていたカムイワッカ川とその周辺は、江戸時代末期、北海道の資源調査や開拓調査の一環で全道を視察した開拓使らによって、硫黄が噴出し流れる川として特別な注目を集めた場所でした。

知床硫黄山は、溶融硫黄を噴出する世界で唯一の火山(世界三大奇火山の一つ)で、明治から昭和初期にかけて、数回にわたって大量の硫黄が噴出し、一攫千金をかけた採掘が繰り返されました。昭和11年の最後の噴火では、20万トンもの硫黄が噴出し、カムイワッカ川が硫黄で埋め尽くされ、その後7年かけて採掘されたと記録されています。当時の採掘遺構や生活痕、鉱山道路がカムイワッカ周辺に今でも随所に残っており、当時の歴史を垣間見ることができます。

その後、昭和30年後半から40年代前半にかけて、知床の資源開発(主に林業)のために岩尾別からルシャまで約25kmの林道が約8年の難工事の末に整備され、ようやく陸路でカムイワッカまで行けるようになりました。

そして、このカムイワッカが温泉の流れる川として、旅行者から徐々に注目を集めるようになり、1980年代から2005年まで、知床を代表する体験観光スポットとなりました。当時、4の滝は円形のきれいな滝つぼで、水着をきた多くの旅行者が、この秘湯で知床を満喫していました。ピーク時には年間10万人もの人がカムイワッカを訪れていたと言われています。

カムイワッカ川での落石の恐れが強まり、2006年からは2の滝よりも上流側の立ち入りが規制されることになりました。30℃前後の低温の区域までしか利用できなくなり、魅力が薄れたと言われ続けていました。上部区域の再開を望む声を受けて、2020年から各種調査や新たなルール作りの模索が始まり、2023年7月、完全事前予約制のアドベンチャーアクティビティとしてリニューアルされ、18年ぶりに4の滝まで開放されることになりました。

また、カムイワッカは、知床硫黄山の登山口にもなっています。事前申請または現地でサインすることで、自己責任による徒歩での通行が認められています。山頂まで登らなくとも、新噴火口付近まででも硫黄山やカムイワッカ地区の魅力に触れることができるはずです。

なお、2005年まで行けた知床大橋は、現在、行くことができません。道路の落石対策工事が終わり次第、行けるようになる予定です。

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